君が報われる世界であることに祝福を

 

はじめて好きになったアイドルだけれど、結局一度も自担とは呼ばなかった人。
他に自担と呼べる人を見つけてもなお、見かけるたびに気を引いてきた人。
多分、誰よりも、報われてほしかった人。

そんな彼がやっとデビューします。

 

松村北斗くんのデビューに寄せて。

「ドラマッチックはいつも苦しいものだから」
そんな名言を北斗くんが残した夏は、私がはじめて彼を知った夏でもありました。

 

この言葉は確か、ガムシャラ!パフォーマンスバトルの公演の中で発せられたものだったと記憶しています。
そして、このパフォーマンスバトルの密着こそが、私が彼を知り、彼を通じてジャニーズを好きになったきっかけでした。

より良いパフォーマンスを目指し、仲間にも、自分にも厳しくする彼の姿を見て、私はジャニーズへの考えを改めたのです。

ガムシャラ!パフォーマンスバトル二年目。北斗くんがリーダーを務めたチーム羅は、ちぐはぐなメンバーで構成されていました。
最初の頃はどのチームよりもギクシャクとしていて、かみ合っていませんでした。
北斗くんがはじめからリーダーとしてすごく優秀だったというわけではなかった気はします。それでも、全員のことをよく見ていることや、どうやったら力を合わせて良いパフォーマンスができるのか悩んでいることが密着を見ていると伝わってきて。責任感が強くて、とても真面目な子なのだろうなと思ったのをいまだによく覚えています。

例えば、通し練習の時、北斗くんが仲間に怒っていた場面なんかで強くそう思いました。
失敗した後、完全に気を抜いてしまった仲間たちに、「気持ち切らすなって!」と北斗くんは怒鳴ったのです。
「失敗は仕方ないけど、パフォーマンスの途中で失敗したからってそこで気持ちを切らしてはいけない」という考え方はステージに立つアイドルとしてすごく大切だと思ったし、それをはっきり言葉にして仲間にぶつけられるところは立派だと思ったのです。

 

それから記憶に残っているのが、未公開か何かで流された北斗くんのバースデーサプライズの映像。
「メンバーの一人がわざと遅刻してきて北斗くんをやきもきさせてから、実は誕生日祝いだったと明かす」というドッキリだったのですが、その遅刻してきたメンバーを待っている時の北斗くんがすごく印象的でした。
しっかり叱らなきゃと思っているのも伝わってくるし、同時にどうやって相手に伝えたらいいんだろうと困っている様子も伝わってくる。そんな姿を見て、私は真面目だなぁという最初の印象を裏づけされた気分になりました。
多分、この人は誰かがズルをしたりするのが嫌いなんだろうし、リーダーとして仲間がいけないことをやったら責任を持って注意しなければならないと思っている。でも同時にどう叱るべきか悩んでしまう。そんな優しい人なんだな、って。すごくすごく好きだな、と思いました。

そして、そんな彼の真摯さと、他のメンバーの明るさや素直さを通してチームが一丸となっていく様子はとても感動的なものだったと記憶しています。

 

多分、最初に惹かれたのが松村北斗くんとチーム羅じゃなかったら、今の私はいなかったんじゃないかなって、今でも思ってるんです。

 

長い間二次元コンテンツのオタクをしていた私は、生身のアイドルを応援する日なんて一生来ないだろうと思っていました。
だって、テレビでどんなことを言っていたとしても、本当は何を考えているかなんてわかりっこない。それに、顔がいいだけでチヤホヤされて、なんかみんな調子にのってそうでヤダ。今ならそんな印象が間違ってることはよくわかるけれど、当時は本気でそう思っていたし、その印象が変わらなかった可能性だって十分あったと今も思っています。

 

なのに、チーム羅の五人が少しずつ本物の仲間になっていき、パフォーマンスを成功させるまでの過程は、まるで私が好んで見ていた青春スポコンアニメみたいで。
彼らによって私の印象はくるっと180度変わったのです。


アイドルは、ジャニーズは、調子にのっている顔が良いだけの男じゃないんだ。
いつだって少しでも結果を残そうと必死で、真面目で、まっすぐで、それでいて優しい人たちなんだ。

そう思えたのはチーム羅と、あの夏その中心にいた松村北斗くんのおかげでしかないと本気で思っています。

 

結局そこから色々あって私は北斗担を名乗る機会はないまま、違う子を応援することになります。
逃げたようで申し訳ない、というか、逃げただけなんだけれども、当時の北斗くんが背負っていたものは新米ジャニオタの私が一緒に少しだけでも背負うには重すぎるように思ってしまったからです。
頭の中ではいくらでも幸せな未来を想像できたけれども、二次元コンテンツと違ってやっぱり現実が追いつかないとそれだけでは苦しくなっちゃって。
楽しいを苦しいが凌駕する状態に、当時に私はついていく自信がなかったのです。
他にもタイミングだったりが重なって、最終的に北斗くんをきちんと応援する機会のないまま今の自担に行き着いたわけですが、それはそれでまったく後悔はしていないです。

それでも、それからずっと北斗くんのことはなんとなく気になっていたし、たまたま居合わせた八月八日のドームでは彼のことを思って涙しました。

 

「ドラマチックはいつも苦しいものだから」

 

そう言っていた北斗くん。
実際彼のデビューまでの道のりはかなり苦しいものだったのかな、と思います。
だって、私が出会うあの夏までにすでに北斗くんはいろんなことを経験していて、あの夏以降もいろんなことがあったのは知っている。
でもその分、本当にドラマチックなデビューになったのかな、なんて。

 

私は外から見てきた傍観者で外野にすぎません。ずっとちゃんと応援してきた人たちほどの感慨はきっとない。
それでも、やっぱり「おめでとう」は言いたいなと思いこのブログを書きました。

それからね、私は多分あの夏に見た北斗くんに少しだけ、ほんの少しだけだけど、自分の姿を重ねていた。
だから、北斗くんが報われる世界であったことが、私に勇気をくれるんです。

 

松村北斗くん

デビューおめでとう。デビューするまで諦めずに続けてくれてありがとう。デビューしてくれてありがとう。

これからも密かに応援しています。